高齢者所有の不動産売却に備えておきたい「任意後見制度」とは?

2021-11-16

高齢者所有の不動産売却に備えておきたい「任意後見制度」とは?

この記事のハイライト
●認知力や判断力が落ちたときでも不動産を有効活用したい方は、任意後見人を定めておくのがおすすめ
●任意後見制度は、法定後見制度と異なり、信頼して任せたいと思える人を自分で選べる
●任意後見人は善管注意義務を負うため、委任者(依頼者本人)の不利益になるような不動産売却はできない

終活を考えるにあたり、自分自身が認知症となったときに適切に不動産売却できるか気になってはいませんか?
あるいは親が高齢になり、悪意ある第三者にだまされることがないかと不安を覚えてはいないでしょうか。
そんなときに知っておくと役立つのが、「任意後見制度」です。
この記事では、高齢者が所有している不動産を、将来安心・安全に処分するために知っておきたい任意後見制度について、概要から締結・活用方法まで解説します。

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高齢者所有の不動産売却に備えて知っておきたい任意後見制度とは

高齢者所有の不動産売却に備えて知っておきたい任意後見制度とは

まずは、任意後見制度とはどのようなものなのかを解説します。

任意後見制度の概要

任意後見制度とは、将来認知症などで判断力が衰えたときに備えて、あらかじめ自ら選んだ人に、代わりにしてもらうことを決めて契約しておく制度です。
たとえば不動産売却は、所有者でなければできないとされています。
本人の認知が進んだり判断能力が落ちたりしている場合、本人の意思を確認できないため売却は困難になります。
そのようなときでも、任意後見人が選ばれていると、代わりに売却を進めることが可能です。
後見契約は、公正証書で契約を交わし、本人の判断能力が不十分となったときに任意後見人が委任された内容を代行します。

任意後見と法定後見の違い

任意後見と似た制度に、法定後見があります。
任意後見と法定後見ではいろいろな違いがありますが、もっとも大きな違いは、「自分の意思を反映できるか」という点です。
任意後見制度では、まだ認知力や判断力が低下していないときに、後見人としたい人を自分で選び、どのような内容を委任したいのかも自分で決めることができます。
対して法定後見制度は、すでに認知力や判断力が低下、または失われた人に対して、裁判所が後見人を選びます。
そのため後見人となってほしいと思う人を自分で選んだり、任せたい内容を決めたりはできません。
もし、「将来自分の不動産や財産はこの人に任せたい」と思う人がいるのであれば、認知力や判断力が低下する前に、任意後見契約を結んでおくのがおすすめです。

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将来の不動産売却に備えて知っておきたい任意後見契約の締結方法

将来の不動産売却に備えて知っておきたい任意後見契約の締結方法

それでは、認知力や判断力が低下した際に備え、任意後見契約を締結する具体的な方法を解説します。

任意後見契約を締結する流れ

任意後見契約を締結するときには、以下の流れで進めます。
任意後見人となる人を選ぶ
まずは、任意後見を依頼する人を選びます。
任意後見人は、以下に該当しない成人であれば、誰に依頼してもかまいません。
1.破産者
2.本人と訴訟したことのある人
3.不正な行為や著しい不行跡、そのほか任意後見人の任務に適さないと考えられる人
なお、この時点では任意後見人ではなく、任意後見を委任された人という意味で「任意後見受任者」と呼ばれます。
契約内容を決める
判断能力が衰えてきたときに、任意後見受任者に支援してもらう内容を決めます。
たとえば「不動産は処分して、〇〇施設に入所したい」など、具体的な内容を決めておくと良いでしょう。
公正証書で任意後見契約を結ぶ
契約内容をまとめたら、公証役場に行き公正証書を作成してもらい、任意後見契約を結びます。

任意後見契約するのに必要な書類や費用

任意後見契約するのに必要な書類・費用は以下のとおりです。

  • 任意後見契約と代理権の範囲に関する原案
  • 本人の戸籍謄本・住民票・実印・印鑑証明書
  • 任意後見受任者の実印・印鑑証明書

公正証書を作成してもらうのには、以下のような費用が発生します。

  • 公証役場の手数料 11,000円
  • 登記嘱託手数料 1,400円
  • 収入印紙代金 2,600円

※なお、受任者の数など契約内容により費用は変わるため、上記は目安となります。
任意後見契約は、委任者本人と任意後見受任者が委任者の住所の最寄りの公証役場で公正証書を作成します。
委任者のやむおえない事情により公証役場へ行くことができない時は、公証人に出張してもらうことも可能です。
その際、手数料のなど費用も発生しますので、事前にご確認ください。

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任意後見人が不動産売却により委任者の不動産を処分する方法

任意後見人が不動産売却により委任者の不動産を処分する方法

それでは将来、不動産の所有者の認知力や判断力が低下した際に、任意後見人が不動産売却する方法を解説します。

任意後見人が不動産売却する流れ

任意後見人が不動産売却するときには、以下の流れで進みます。
任意後見監督人の選任を申し立てる
本人の認知力や判断力が不十分になった段階で、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立をおこないます。
任意後見監督人とは、任意後見人が任意後見契約の内容どおりに適正な仕事をしているかをチェックする役割を果たす人です。
任意後見監督人は、その役割上、本人の親族などではなく、弁護士や司法書士などが選ばれることがほとんどです。
任意後見監督人選任の申立をおこなえるのは、本人もしくは配偶者、任意後見受任者、四親等以内の親族となります。
不動産会社に売却を依頼する
任意後見監督人が選任されたら、不動産会社に売却の相談をして売却を依頼します。
不動産の登記申請をおこなう
買主が決まり、売買契約を結んだら、不動産の名義変更登記が必要です。
任意後見人が売主本人の代理人となり、登記申請に必要な書類を司法書士などに提出します。
その際には、以下のような書類が必要になります。
・登記済証または登記識別情報
・後見登記事項証明書
・任意後見人の印鑑証明書
このうち後見登記事項証明書とは、任意後見人となっている人が、本人の代理として契約などをおこなうときに、任意後見人としての権限があることを証明するための書類です。
後見登記事項証明書は、法務局や地方法務局の窓口のほか、郵送やオンラインでも請求できます。

任意後見人には善管注意義務がある

任意後見人は、善管注意義務を負っているため、本人の不利益になるような行為は認められていません。
善管注意義務とは、「善良な管理者の注意」を意味し、その人の職業や社会的地位に照らして、通常期待される程度の注意を払う義務を指します。
任意後見人は、委任者の財産を管理するため、自分の財産に対する以上の注意を払うことが期待されています。

不動産売却に際しては任意後見監督人の同意や裁判所の許可は不要

任意後見人が委任者の不動産を売却するときには、任意後見監督人の同意や裁判所の許可は基本的には不要です。
だからといって、合理的な理由もないのに委任者の不動産を売却してしまうと、あとで問題となることが考えられます。
任意後見人は、任意後見監督人に定期的な報告が必要とされていて、その際不動産を売却したことが判明すると、その理由を尋ねられます。
たとえば委任者の介護費用が不足し、介護に手が回らないので施設に入所するための資金が必要、というのは不動産を売却する合理的な理由といえるでしょう。
しかしそういった理由ではなく、任意後見人が自分自身の事業や生活に使う費用をまかなうために不動産を売却したなら、善管注意義務に違反したとして大きな問題になります。
場合によっては後見人の辞任を勧告されたうえ、本人に損害を与えたとして損害賠償責任を負うこともあります。
そのため不動産売却に際しては、任意後見人として委任者のためにおこなうことをアピールする意味でも、できる限り事前に後見監督人や家庭裁判所に話を通しておくのがおすすめです。

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まとめ

高齢者が所有する不動産を、認知力や判断力が落ちたあと適切に管理し、必要に応じて売却するためには、任意後見人を定めておくと安心です。
法定後見人と違い、任意後見人は自分が信頼できる人に不動産を含む財産管理を任せられます。
任意後見人となり、委任者の不動産を売却するときには、善管注意義務に従う必要があります。
任意後見人として委任者の不動産を売却する際には、事情を理解したうえで対応してくれる不動産会社を選ぶことも大切です。
絆家不動産では、所沢市を中心に個々の事情に応じた不動産売却のご相談に応じておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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